「めでたし、めでたし」で終わらない現実の世界 『フェアリー・ゴッドマザー』で描かれる“ハッピーエンド”とは?
■エレノアがかける“心の魔法”
『フェアリー・ゴッドマザー』12月11日(金)よりディズニープラスにて独占配信 (C)2020 Disney
ホットチョコレートにマシュマロをいっぱいに浮かべたり、馬車やドレスや出現させてみたり。エレノアが振りかけるのは、いつも“誰かのため”を思って出す魔法。さらに、彼女が伝えてくれるのは、目に見える魔法だけではない。ある時は、父を失って以来、人前で歌えなくなってしまったマッケンジーの娘・ジェーンのために一緒に街で歌を歌うエレノア。彼女は“一歩踏み出す勇気”という、“心の魔法”も教えてくれるのだ。コミカルで、あたたかくて、優しいエレノアの魔法に、見ているこちらもいつの間にか笑顔になっていた。
本作の最大の見どころとも言えるが、この“心の魔法”。「王子と姫は結婚して、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」で終わるおとぎ話と違って、現実は「めでたし、めでたし」なことばかりではない。それを証明するのがシングルマザーのマッケンジーの生き様だが、彼女はエレノアと過ごすうちに、“本当の幸せとは?”と自身に語りかけていく。
『フェアリー・ゴッドマザー』12月11日(金)よりディズニープラスにて独占配信 (C)2020 Disney
ジリアンは、本作のインタビューの中で、「私たちの世代は、“ハッピーエバーアフター(いつまでも幸せに)というのは王子様がいて、美しいドレスがあって、お城があって…”というものだと思い込まされていたわよね。でも、この映画のメッセージはそれとは違うわ。もっとモダンな視点から語るの」と本作が描く現代的な要素についてコメント。
「脚本にすごく感動した」というアイラも、「私自身も母親で、子供たちにどんな話を聞かせるか、いつも考える。世の中にはステレオタイプな話や、今の世の中で聞かせるのに相応しくないテーマの話がたくさんあるから。これは、家族みんなで見られる、素敵な映画を作るチャンスだと思った」とポジティブなメッセージに共感したという。
『フェアリー・ゴッドマザー』12月11日(金)よりディズニープラスにて独占配信 (C)2020 Disney
そして、この映画は困難なことが多かった2020年だからこそ届けたい映画だと強調する。「ほんの一瞬でも、違う世界に逃避させてあげることができたら嬉しいわ。そして、魔法はあるのだと思い出して欲しい」(ジリアン)、「親としては、パンデミックで友達と会えない中、子供が心を惹かれる良い作品を見つけてあげるのは難しい。この映画の配信をほかの多くの親たちも、きっと喜ぶと思うわ」(アイラ)。
困難なことがあっても、この世にはきっと愛があふれている。そんな“心の魔法”を信じさせてくれる内容となっており、経験や年齢を重ねた大人にも見応えのある1作だ。(文:成田おり枝)
『フェアリー・ゴッドマザー』は、12月11日(金)より「ディズニープラス」にて独占配信。